生地の扱いと丸め
パン成形の基礎技術
「簡単そうに見えたけど、実際にやると難しい」
こう感じた経験はありませんか?
パン成形を見てこれを感じたことがある場合、『簡単そうにやっていた人』と『自分』の差は
基礎技術のレベルの差です
成形には基礎技術と言うものが3つあり、
それらを束ねる生地の扱い方のような共通するコツがあります
基礎技術のレベルを上げていけば、
「今までできなかった成形が確実にできる」
「やったことがなくても少しの練習でできる」
そんな状態になっていきます
今回のページでは基礎技術の中でも共通する生地の扱い方や丸めについて
- 生地を扱う時の考え方やコツ
- 何を意識したら丸めが上達するのか
- どんな丸めが上手な丸めなのか
この3つを中心に解説していきます
ちなみに、
「生地の扱い」は成形の基礎技術を練習していけばある程度自然に上達していきますが、基礎技術の上達には練習が必要です
持論ですが、
プロの技術は上手になればなるほど
「簡単そうに・単純そうに見え、実際にやってみるとその難しさに驚くもの」だと思っています
パン作りにとって成形はなくてはならないというわけではありません
ですが、成形することによってパンの形を理想に近づけるのが成形だと私は考えています
そんな成形が持つ役割は大きく分けて4つ
- パンの種類を区別させる
- 発酵ガスを活用する準備
- 気泡のコントロール
- 食感のコントロール
パンの形や見た目を変えることで、
数種類の生地で作る時にそれぞれの区別が簡単にできるようなります
砂糖が多い生地、ライ麦が入っている生地、乳製品や卵が入っていない生地など
これらを全て丸パンで作ったら区別が大変そうですよね
また、
成形を変えるだけで同じ生地なのに全く別のパンを作ることもできたりします
編み込みパンを作った生地であんぱんやドーナツを作ることも可能です
パン生地の表面がシワだらけだとパン生地が膨らむ前にシワを直してから膨らんでいこうとします
膨らませる力(炭酸ガス)には限りがあるので、
最初から膨らませる力として使いたい炭酸ガスなのにシワを伸ばす方に使ってしまうと炭酸ガスを膨らませる力として最大限活用できなくなってしまいます
このシワを成形によってなくし、生地の表面にハリを持たせることで最初から炭酸ガスを膨らませる力として使うことができます
成形する時に生地を潰すか、極力潰さずに成形するかを変えることで気泡の粗さをコントロールできます
気泡を粗くしたいなら極力生地を潰さずに成形して、一次発酵の気泡を残すように成形する
気泡を細かくしたいならしっかりと潰して成形すれば気泡の大きさも揃って細かくなります
この気泡はパンのボリューム感や内層の見た目にも影響しますが、一番は食感が変わります
気泡が細かく均一な大きさに揃っているパンは口当たりがなめらかになり、
逆に気泡が大きく不均一なパンはまた違った食感になります
どちらが自分の理想なのかどういう風にそのパンを食べたいのか(食べさせたいのか)で良し悪しが変わってくるので、成形する時は自分の理想のパンがどんな形なのか常に想像しながらやってみてください
気泡の粗さをコントロールでも食感について少し説明しましたが、成形には他にも食感をコントロールできるのが生地の大きさや細さです
生地を大きく切って成形すれば生地のもっちり感やしっとり感は増していき、
逆に生地を小さく切って成形すればこのもっちり感やしっとり感は減っていきます
また、生地を細くしたり薄くすると焼かれた時にパリッとした食感にしやすくなります
この成形による食感の違いを一つのパンに集約させたのがプレッツェル
太い部分はもっちり感があり、細い部分はパリッとカリっとしやすくなっています
これからパン作りを始める方、パン成形を練習したいと考えている方
今から、プロになるまで、
いや、プロになった後もずっと考えていくことが2つあります
- 触るのは最小限に
- 生地には常にハリを
あなたがどんなパンを作りたいのかにもよりますが、
お店で売られているような成形をこれから覚えていきたいと考えているのであれば
この2つは外せません
完全オリジナルで作っていくんだったら
これから紹介する全てのコツや基礎技術も意味ないので是非自分の道を進んでいってください
生地に触るのを最小限にすると
・成形の手間や時間が少なく済む
・たくさん作った時のブレが少ない
・グルテンにかかるストレスが減る
などの効果を期待できます
簡単に言ってしまうと、
パンのクオリティと生産力に大きく影響してしまいます
パン作り始めたばかりって方は仕方ないかもしれませんが、
もうある程度形になってますって方は成形時に触る回数を何回にするか考えていくと更に上達していきます


パン生地の表面がツルんとしたハリのある状態にするのはパン生地を扱う上での基本です
あえて生地の表面を張らない成形もありますが、特に理由がなければ生地は常にハリのある状態にさせましょう
成形中であったとして常に生地の表面にハリを持たせるように成形ができるようになると
べたつく生地で成形する時もできるだけ手に生地をつけないでキレイに成形できるようになります
生地の表面に傷があるとその傷は残ったままパンとして焼かれてしまいます
これからどんな成形をするにしても、それらの成形には一定の共通事項がいくつかあります
その中でも特に共通しているのは以下の4つ
- 無理な変形は逆効果
- 打粉は最小限
- 線や面でのみ生地に触る
- パン生地がよくないと難しい
どんな技術が応用できるか、他の成形と何の要素が共通しているのかを考えながら成形していると一つの練習が2つや3つの意味を持つようになていきます
特に小麦のグルテンが強い生地=小麦粉で作ったパンにはグルテンの特徴が強いです
グルテンには弾力性と言う特徴があります
弾力性はパン生地を指先や手のひらで押した時に受ける抵抗や押した後に元の形に戻ってこようとする力のことで、麵のコシもこの弾力からきます
弾力があることでパン生地を成形する時にベタつきにくく、生地にハリを持たせてくれます
しかし、
この弾力があることで生地が伸びにくくなってしまいます
その為、無理に引っ張ったりしても戻ろうとする力が働いてしまうので、適度な力加減と回数、休憩が重要になります
成形を始めたばかりの頃は打粉を使いたがることが多いです
なぜなら、打粉を使うと生地のべたつきが一番手っ取り早く解消されるからついつい使ってしまう
そんな状態に陥りやすいです
一見問題ないようにも見えますが、打粉には2つのデメリットがあり
・打粉が焼かれると苦みになる
・生地がハリにくくなる
など使いすぎによるデメリットは無視できません
特にハリに関しては生地のべたつきがある程度ないとできないので、打粉は最小限にして成形しましょう!
「生地がベタつくから」「慎重に移動させたいから」などの理由で
初めの内は生地を指先で摘まむように触ってしまいがちです
実はコレ逆効果
生地は線や面を意識して触るのが良く、パッと垂直に離すのがコツ
具体的には、指全体や手のひら全体、スケッパー(ドレッジ)などです
指先は線や面に対して「点」で触っている状態
点で触ると力が分散せずに生地表面が耐えられず、生地が裂けたりしやすくなります
風船を想像すると分かりやすいかもしれません
風船に針を刺すと割れてしまいますが、沢山束ねた針で刺しても風船は割れません
これと同じようなことが生地で起こるので点ではなく線や面で触るようにしてください



成形した後の生地は手に置くようにすると良いですよ!
正直、生地がそもそもよくないといくら頑張って成形しても上手なパンは焼けません
そして、生地の特性も変わってくるので練習の効果も残念ながら低くなります
良い生地を作るためには
- 材料
- レシピ
- 捏ね方
- 発酵
この辺りが重要です
やり方、作り方は習っているパン教室や本を参考にして作ったりしてください
自分で改善していく場合はパンの基礎的な理論も重要になってきますので、基礎理論も押さえておきましょう
Riopanメンバーの方は
生地の状態がこれでいいのかも相談できますので、いつでもLINEしてきてください
①の丸めができるようになるのが今回の丸めの目標
②は簡単な丸めの方です
まだ丸めはできないけどパン作りを楽しみたい方や初心者の方に教える時に役立つので覚えておいて損はないでしょう
なんとなくで良いので
工程のイメージができてたら大丈夫です
やっている丸めの手の内はこんな感じ
- 生地をある程度均等につぶす
- 手をお椀のようにする
- 右手は時計周り(左手は反時計回り)
- 生地表面が張るまで丸める
- 生地にハリがある
- 上から見て丸に近い
- 閉じ目が一点にある
以上の3つが良い丸めの基準です
これからの解説はこの基準を満たすように成形できるコツです
解説を通して「基準を満たすようにする工程の工夫」も感じてもらえたら一石二鳥だなと思っています
この基準はリオの基準です
しかし、キレイに見える丸めの共通事項なので、この基準で丸めが「できる」技術は習得しましょう

丸めをする上で意識すべきなのは以下の6つ
- 生地のキレイな面を上に
- 底面に打粉はつけない
- テーブルと手で生地を張る
- 手の形は「コ」
- 生地の上は触らない
- 閉じ目は一点にする
それぞれ詳しく見ていきましょう


丸めをするのに1枚目と2枚目は難易度と完成度に大きな違いがあります
1枚目のように表面がキレイな生地を丸めるのはすごく簡単で、完成度も高くできます
しかし、2枚目のように表面に細かな生地があったり、荒れてる表面だと丸めるのも難しく完成度もあまりよくできません
キレイな表面にするには生地を分割する(量る)時から意識してあげる必要があります
意識せずに分割していると細かく切りすぎてしまい、どんどん細かな生地を上に乗せてしまうと2枚目の写真のようになってしまいます
理想は一発で希望の量を量れることですが、初めの時はそうもいきません
そこでオススメしたい表面をキレイにするコツは
キレイな表面にするコツ
・ある程度多めに切ってから減らす計量
・細かく切ったら生地の下に隠す
この二つです
小手先の技術ではありますが結構使えます
特に2つ目は気泡が大事なパンにはあまり使えませんが菓子パンや惣菜パンの分割だったら問題なく使えるので、細かく調整したら生地の下に隠すのは覚えておきましょう!
丸めは適度なべたつきがないと生地を上手に張ることができません
生地のべたつきを使って生地同士をくっつけて生地に閉じ目を作り、生地の表面にハリを持たせていきます
底面に打粉がつくと生地同士がくっつかなくなり上手に丸めができなくなってしまいます
打粉はべたつきを簡単に解消してしまうので、初心者の方は特に多く使いがち…
これからもパンの成形をしていくなら覚えておいてほしい打粉のルールは
・張った生地の表面にしか使わない
・最小限の量だけ使う
丸めの場合、「張った生地の表面」は「キレイな生地の表面」です


手を動画のような形にして円を描くように動かしても生地のハリはできず、上手く丸まってくれません
そこで重要になるのが「テーブルと手で生地を張る」ということ
2枚目の図は丸めの要素を1枚目の写真から抽出した図です
分かりやすく指先で押し出している時の丸めで生地が張っていく様子
・指先が動く点(黄色)
・テーブルと生地の端が動かない点(青色)
~丸めの仕組み~
指先で触った生地(黄)を進行方向に動かすと
生地のべたつきでテーブルとくっついた生地の端(青)は動かない
そうなると、動く点と動かない点はどんどん近づいていきます
この時に点と点の間にあった生地は逃げ場がない為、生地の中を押し込みながら中に入っていきます
~生地が張る仕組み~
点と点を近づけて生地の円周は短くなるのに重量は変わらない
その為、生地内の密度が上がっていき外にあふれようとする力も働きますが、
グルテンの力でそれを止めようとするので生地にハリが生まれます

イメージ的には中にある生地の粒が最初は余裕があるけど
円周が小さくなって生地の粒がぎちぎちに詰まっている感じ

さっきの説明は手の指先でしたが、それを親指の側面と手の付け根でも同じように使います
手を回しながら3つの線を順番に使うことで効率よく生地を丸めます
親指の側面が動く点でその反対側の生地の端が動かない点って感じです
教え方によっては指先は使わず、
親指の側面、手の付け根、小指の側面で丸める方もいますが基本は同じです

丸めをするときに生地の上部分はできるだけ触らない!
生地を張る時は側面かテーブルと生地の間くらいを「コ」の字で触り、手を回します
もしも、生地の上に近い部分を触って手を回そうとすると触った点から固定された点までの距離が長すぎる為上手く距離を縮めにくくなったり、閉じ目の軸となるべき固定された点がバラバラになってしまいます
効率的な丸めから遠ざかってしまうのも問題ですが、生地の閉じ目がブレてしまうのも問題です
閉じ目が一点になるように丸めると生地が張りやすくなり、ハリが保ちやすくなります
閉じ目を一点にするためには
- 大きく手を動かさない
- 生地の位置は変えない
この二つが重要!
共通するポイントは固定された点を一点に近づけていくことです
固定された点は「コ」の字で手を回す場合は3つありますよね?
それらの3つの点を近づけていくことで閉じ目を一点に集中させます